ryunosuke / castella
php dependency injection container
Requires
- php: >=8.0
- psr/container: 1.* || 2.*
Requires (Dev)
README
Description
設定ファイルをベースとした DI コンテナです。 下記の機能があります。
- コンストラクタインジェクション
- フィールドインジェクション
- オートワイヤリング
- 上記に伴う循環参照解決
Install
{ "require": { "ryunosuke/castella": "dev-master" } }
Concept
- 設定ファイルベース
- 「DI コンテナ(+設定ファイル)」ではなく「設定ファイル(+DI コンテナ)」です
- つまり「DI コンテナを設定ファイルのように使いたい」ではなく「設定ファイルを DI コンテナのように使いたい」が基本コンセプトです
- ミニマム・コンパクト
- 複雑な依存は廃し、完全無依存(除 psr11)+単一ファイルで構成されます
- 最悪の場合は「コピペでコードベースを変更できる」を仮定しています(依存が大量でファイルが100を超えていたりするとこうは行かない)
- シンプル
- 「あらゆる注入をサポートする」のではなく、「DI コンテナに合わせてクラス設計する」という方針です。あまり無節操に外部のオブジェクトを取り込むような設計ではありません
- サポートする機能は「コンストラクタインジェクション」「フィールドインジェクション」「オートワイヤリング」だけです
- 「セッターインジェクション」「アノテーション」「メソッドコール」などは実装されていませんし、今後実装する予定もありません
- コンパイル・変換・キャッシュなどはありません。十分に高速です
- 簡潔
- 設定ファイルの記法は「値を書く」か「クロージャを書く」かだけです(利便性のための糖衣構文はある)
- 値の場合はそのまま活かされますし、クロージャの場合は遅延実行されます
Spec
- コンテナに設定するデータソースは配列(or 配列を返すファイル)のみです
- 一応
set
も用意してありますが、内部的には配列です
- 一応
- 配列はキー単位でマージ(上書き)されます
- 連想配列・連番配列の区別はありません。よって連番配列のマージは意図しない結果になることがあります
- 完全に上書きされる配列を定義したい場合はクロージャで包むか array メソッドを使う必要があります
- 「値」とは「クロージャ以外のすべて」を指します。値は設定したものがそのまま返されます
- クロージャは例外なく遅延実行されます。つまり「必要になったその時」まで実行されません
- よってエントリにクロージャを設定したい場合は「クロージャを返すクロージャ」を設定する必要があります
- クロージャの値としての型は「型宣言による返り値の型」です。これによりクロージャを実行せずとも型の判定を可能にしています
- 返り値の型を記述しないと void となり、依存関係の解決の対象外となります
- static クロージャにすると毎回同じインスタンスを返します。 static ではない普通のクロージャは毎回生成して返します
- クロージャの引数は
(コンテナ, キー逆順)
で固定です- クロージャの引数で型検出はされない、ということです
- この仕様は設定のコンテキストのすべてのクロージャに適用されます
Usage
基本
このパッケージは端的に言えば「依存関係を解決できるコンフィグレーションライブラリ」です。 環境や開発者間での設定を吸収する、下記のようなユースケースを想定しています。
まず、下記のようなデフォルト設定があるとします。
<?php # $container->include('default.php'); /** * @var ryunosuke\castella\Container $this */ return [ 'env' => [ 'name' => 'local', 'origin' => 'http://localhost', 'loglevel' => LOG_INFO, 'logdir' => '/var/log/app', 'rundir' => '/var/run/app', 'datadir' => '/var/opt/app', 'extension' => ['js', 'es', 'ts'], ], 'database' => [ 'driver' => 'pdo_mysql', 'host' => '127.0.0.1', 'port' => 3306, 'dbname' => 'app', 'user' => 'user', 'password' => 'password', 'charset' => 'utf8mb4', 'driverOptions' => [ \PDO::ATTR_ERRMODE => \PDO::ERRMODE_EXCEPTION, ], ], 's3' => [ 'config' => [ 'region' => 'ap-northeast-1', 'version' => 'latest', ], 'client' => $this->static(S3Client::class), ], 'storage' => [ 'private' => static fn($c, $key) => new Storage($c['s3.client'], $key), 'protect' => static fn($c, $key) => new Storage($c['s3.client'], $key), 'public' => static fn($c, $key) => new Storage($c['s3.client'], $key), ], ];
これは「アプリが動作するための最低限の動作 and 開発者向けの参考・スキーマ」のようなファイルです。 環境を問わず必ず読み込まれるようなベース設定です。 これだけだと設定に意味はなく、まともな動作はしない事が多いです。
次に環境変数やホスト名等に基づいて下記のような個別設定があるとします。
<?php # $container->include('myconfig.php'); /** * @var ryunosuke\castella\Container $this */ return [ 'env' => [ 'origin' => 'http://myself', 'loglevel' => LOG_DEBUG, 'extension' => $this->array(['php']), ], 'database' => [ 'host' => 'docker-mysql', 'driverOptions' => [ \PDO::ATTR_EMULATE_PREPARES => false, ], ], 's3' => [ 'config' => [ 'credentials' => [ 'key' => 'minio', 'secret' => 'minio123', ], 'endpoint' => 'http://minio.localhost', ], ], ];
配列はマージされるため、「デフォルトから上書きしたいエントリ」だけを指定します。 上記ではデフォルトを尊重しつつ、「ログレベルは DEBUG にしたい」「DB は docker の mysql を使いたい」「S3 は minio を使いたい」といった形で必要なもののみ上書きしています。 これが「設定ファイルベース」たる所以です。
さらに storage 設定や S3 のクライアントなどは平易な記法で依存関係を解決しています。遅延実行+キーの上書き機構により不必要な実行は一切行われませんし、インスタンスは使い回されます。 これが「設定ファイルを DI コンテナのように使いたい」たる所以です。
上記のとき、env.extension
の値は $this->array
しているため ['php']
であることに注意してください。
配列はマージされるため、この $this->array
が無いと 0番目だけが上書きされた ['php', 'es', 'ts']
という値になってしまいます。
このように配列を完全に上書きしたい場合は $this->array
を使用します。
また、 storage
以下のクロージャには自身へのキーの逆順が渡ってきています。
このように引数を活用するとキー値を使うときに重複した記述を避けることができます。
コンストラクタ
コンストラクタで各種オプションを設定します。 ここで設定したオプションは変更できません。 オプションはすべて省略可能で下記はデフォルト値です。
$container = new \ryunosuke\castella\Container([ 'debugInfo' => null, 'delimiter' => '.', 'autowiring' => true, 'constructorInjection' => true, 'propertyInjection' => true, 'resolver' => $container->resolve(...), ]);
debugInfo: ?string
__debugInfo
の挙動を指定します。
将来的な拡張のために string 型になっていますが、現在のところ null|"settled" の2拓です。 null を与えると標準の var_dump(メンバーすべてが出る)になり、"settled" を与えるとエントリのみが出力されます。
現在のデフォルトは null ですが、往々にして有用なのは "settled" のため、このデフォルト値は後々変更される可能性があります。 また、このデフォルト値の変更は互換性の担保に含まれません。 つまり「ob_start で var_dump の出力結果をキャプチャ」のような処理があると互換性が壊れる可能性があります。
delimiter: string
アクセスするときの配列区切り文字を指定します。
$container->extends([ 'a' => [ 'b' => [ 'c' => 'X', ], ], ]);
このようなとき、 $container->get('a.b.c')
のようにアクセスできます。
autowiring: bool
未登録エントリにアクセスしようとしたときに型名で自動解決するかを指定します。
true にすると非エントリでもクラスが存在する場合はそのインスタンスが取得できます。 その際、依存関係は再帰的に解決されます。 false にすると非エントリを取得することはできません。
constructorInjection: bool
依存解決の際にコンストラクタの引数型・引数名を見てインジェクションするかを指定します。
true にすると後述の resolver で解決を試みます。 false にすると $arguments 引数で必須引数を完全にカバーする必要があります。
propertyInjection: bool
依存解決の際にプロパティの型・名前を見てインジェクションするかを指定します。
true にすると後述の resolver で解決を試みます。その際、nullable か初期化済みプロパティは対象外になります。 逆に言うと notnull で未初期化プロパティが解決されます。 false にするとプロパティを一切触らなくなります。
resolver: callable
依存関係の解決 callable を指定します。
callable のシグネチャは (ReflectionParameter|ReflectionProperty $reflection): mixed
です。
ここで返した値が依存値として取得されます。
デフォルトでは下記の順で解決を試みます。
- $type がスカラー値の場合、 引数名やプロパティ名の
_
を delimiter に置換したエントリ - $type の型文字列表現エントリ
- $type と型が一致するエントリ(全走査)
「型が一致」とは一意であることを意味します。該当する型がなかったり複数ある場合は検出できません。
例えば __construct(TypeName $this_is_arg)
の場合、まずエントリに TypeName
という名前が登録されているか調べて、存在しなかった場合は全エントリから TypeName のインスタンスを走査します。
それでも解決できなかった場合は依存関係の解決に失敗し、例外を送出します。
エントリ設定
下記の設定メソッドにおいて、動的・静的・遅延を問わず一度でも取得したエントリを上書きすることはできません。 取得済みエントリを上書きしようとすると例外を送出します。
extends(array $values): self
指定された配列をエントリとして取り込みます。 指定済みのキーは再帰的にマージ(上書き)されます。
キーを空白で区切ると左側がエントリ名、右側がエイリアスとして機能します。 エイリアスを指定するとそのエイリアス名でもアクセスすることができるようになります。
$container->extends([ 'a' => [ 'b' => [ 'c abc' => 'X', ], ], ]);
上記のようにすると a.b.c
でも abc
でもアクセスできます。
include(string $filename): self
コンテナのコンテキストでファイルを読み込んで返り値を取り込みます。
実質的に $container->extends((fn() => include $filename)->call($container))
とほぼ同義です。
違いは $this['entry']
が使える点です。
include のコンテキストで $this['entry']
のように直参照すると特殊な遅延評価オブジェクトに変換され、参照時点で未定義でもその値が使用できます。
つまり、下記の fuga と piyo は同義となります。
<?php return [ 'hoge' => 1, 'fuga' => $this['hoge'], 'piyo' => static fn($c) => $c['hoge'], ];
自身のエントリを参照するわけなので、static 固定です。
mount(string $directory, ?array $pathes = null, ?string $user = null): self
指定ディレクトリ内の $pathes に基づくファイルをすべて読み込みます。
拡張子は .php
固定です。
「$pathes に基づく」とは単純にファイルシステムの階層構造を表します。
その際、ディレクトリ内の .php
(名前なし php ファイル)は必ず読み込まれます。
./mount
├── .php
├── com
│ ├── .php
│ └── example
│ ├── .php
│ └── host.php
├── net.example.host.php
├── net.example.php
├── net.php
└── org.example
├── .php
└── host.php
このような階層の時、mount
ディレクトリ指定で $pathes で読み込まれるファイルは下記となります。
[]
:mount/.php
: 名前なし php ファイルなので必ず読み込まれる
['com']
:mount/.php
: 同上mount/com/.php
: 名前なし php ファイルなので必ず読み込まれる
['com', 'example']
:mount/.php
: 同上mount/com/.php
: 同上mount/com/example/.php
: 名前なし php ファイルなので必ず読み込まれる
['com', 'example', 'host']
:mount/.php
: 同上mount/com/.php
: 同上mount/com/example/.php
: 同上mount/com/example/host.php
: basename が一致するので読み込まれる
['net']
:mount/.php
: 同上mount/net.php
: 名前なし php ファイルなので必ず読み込まれる
['net', 'example']
:mount/.php
: 同上mount/net.php
: 同上mount/net.example.php
: 名前なし php ファイルなので必ず読み込まれる
['net', 'example', 'host']
:mount/.php
: 同上mount/net.php
: 同上mount/net.example.php
: 同上mount/net.example.host.php
: basename が一致するので読み込まれる
['org']
:mount/.php
: 同上
['org', 'example']
:mount/.php
: 同上mount/org.example/.php
: 名前なし php ファイルなので必ず読み込まれる
['org', 'example', 'host']
:mount/.php
: 同上mount/org.example/.php
: 同上mount/org.example/host.php
: basename が一致するので読み込まれる
要するに apache の htaccess のような関係性で、指定階層のファイルとその通過中のディレクトリの .php
が読み込まれます。
読み込みはディレクトリ優先です。
上記は com は完全なるネスト構造、 net は完全なるフラット構造、 org はその中間(必要が無ければディレクトリが結合できる)の例示になっています。 これらの配置が混在しているときの動作は規定していないことに注意してください(おそらくすべてが読み込まれる。弊害はないだろうが無駄が多くなる)。
$pathes
はデフォルトではホスト名の逆順です。
引数を与えた場合、変に加工せずそのまま使います。典型的には環境変数由来の値を与えることが多いでしょう。
$user
を与えると最終的なファイル名が basename@{$user}.php
であるファイルも追加で読み込まれるようになります。
これは既存設定ファイルにバリエーションを持たせるための機能で、user
という引数に特別な意味合いはありません(敢えて言うならデフォルト値でユーザー名が使用される)。
そのようなファイルを読みたい場合は $pathes
で指定すれば十分であり、この機能が活きるのはかなり局所的な使い方になります。
set(string $id, $value): self
id 指定でエントリを設定します。
id は delimiter で潜ります。
$container->set('a.b.c', 'X')
は実質的に $container->extends(['a' => ['b' => ['c' => 'X']]])
と同義です。
エントリ取得
has(string $id): bool
エントリが存在するか bool を返します。
get(string $id): mixed
エントリを取得します。 取得されたエントリはクロージャが解決されており、完全なる値を得ることができます。
$container->get('')
のように空文字を与えると全エントリを配列で得られますが推奨しません。
これで得られる値は「配下すべてが解決済みの配列」であり、すべての遅延取得を無に帰す禁断の取得方法です。
'' に限らず、遅延取得を有効に活かすためには出来るだけ小さい単位で get するのがコツです。
fn(string $id): Closure
エントリを取得するクロージャを返します。
実質的に fn() => $container->get($id)
と同義です。
「まだ使うか分からないのでクロージャでラップして取得したい」といった場合の糖衣構文として使えます。
MagicAccess
プロパティのオーバーロードメソッドが実装されており、プロパティライクなアクセスも可能です。 下記のように対応します。
- isset($container->key) => $container->has('key')
- $val = $container->key => $val = $container->get('key')
- $container->key = $val => $container->set('key', $val)
- unset($container->key) => 未サポート
ArrayAccess
ArrayAccess が実装されており、配列ライクなアクセスも可能です。 下記のように対応します。
- isset($container['key']) => $container->has('key')
- $val = $container['key'] => $val = $container->get('key')
- $container['key'] = $val => $container->set('key', $val)
- unset($container['key']) => 未サポート
ユーティリティ
unset(): object
最終結果からそのエントリを取り除きます。
「親で定義されているが、子では取り除きたい」という状況で使用します。
つまり、下記の設定の最終結果に hoge
は含まれません。
<?php $container->extends([ 'array' => [ 'hoge => 'HOGE', 'fuga' => 'FUGA', 'nest' => [ 'hoge => 'HOGE', 'fuga' => 'FUGA', ], ], ]); $container->extends([ 'array' => [ 'hoge => $container->unset(), 'fuga' => 'FUGA', 'nest' => [ 'hoge => $container->unset(), 'fuga' => 'FUGA', ], ], ]);
const($value, ?string $name = null): Closure
値をそのまま返します。
このメソッドで与えられた値は後述の define
を呼ぶとその値が定数として定義されます。
定義場所は問いません。const
された位置を覚えておいて、define
で一気に登録するイメージです。
define(): array
const
で返した値を一括で定数定義します。
これの何が嬉しいかというと
- どれが定数かを管理する必要がない
- 遅延定義が使える
です。
<?php return [ 'hoge => $this->const('HOGE', 'CONST_NAME'), 'fuga' => 'FUGA', 'nest' => [ 'hoge => $this->const('HOGE'), 'fuga' => 'FUGA', ], ];
上記は設定ファイルとしての値は const
を使用していない場合と全く同じです(hoge
が 'HOGE'
で、nest.hoge
が 'HOGE'
)。
この状態で define
を呼ぶと
define("CONST_NAME", "HOGE");
define("NEST\\HOGE", "HOGE");
を実行したのと同じ効果になります。
const
define
を使用せず、定数定義すべきものをちまちま define("CONST_NAME", $container->get("key.to.const"));
しても同じですが、得てして変更時に漏れが発生しやすくなります。
設定ファイル内で const
しておけば「それが定数であること」と「定数定義されること」が保証されるため、漏れがなくなります。
なお、上記の通り定数名はオプションです。 指定しなかった場合はエントリのキーが大文字名前空間に変換されて定義されます。
env(string $name): ?string
getenv
のラッパーで環境変数値を返します。
getenv
の第2引数は true です。putenv(dotenv) で設定されている場合はそれを返します。
可変引数で、最初に見つかった環境変数を返します。
すべての環境変数が存在しない場合は(false ではなく) null を返します。
つまり、下記のように ??
を用いればデフォルト値を得ることが可能です。
<?php return [ 'tmpbyenv' => $this->env('TMP', 'TEMP', 'TMPDIR') ?? '/path/to/default', ];
new(string $classname, array $arguments = []): object
与えられたクラス名のインスタンスを生成します。
依存関係は自動解決しますが、$arguments
で与えるとそれが優先されます。
$arguments
は名前付き引数・位置引数の両方をサポートします。
実質的に「依存関係にある引数を省略することができる new 演算子」となります。 つまり、下記の hoge1 と hoge2 は同義となります。
<?php return [ 'hoge_arg1' => 1, 'hoge_arg2' => 2, 'hoge1' => new Hoge(1, 2), 'hoge2' => $this->new(Hoge::class), ];
yield(string $classname, array $arguments = []): Closure
$this->new
する型付きクロージャを返します。
設定ファイル内でインスタンスを自動解決させるときの糖衣構文です。 つまり、下記の hoge1 と hoge2 と hoge3 は同義となります。
<?php return [ 'hoge_arg1' => 1, 'hoge_arg2' => 2, 'hoge1' => fn($c): Hoge => new Hoge($c['hoge_arg1'], $c['hoge_arg2']), 'hoge2' => $this->yield(Hoge::class), 'hoge3' => $this->yield(Hoge::class, [1 => $this['hoge_arg2']]), ];
Hoge クラスのコンストラクタ引数が $hoge_arg1 だったり、 $hoge_arg2 が型付きで自動解決できる場合はこのような記述で Hoge インスタンスが(遅延)生成されます。 hoge3 は yield を使いつつ引数の遅延実行しています。
このように依存関係が完全に閉じているなら yield を使用して自動に任せたほうが楽なこともあるでしょう。 また、個人的に返り値の Hoge 宣言を忘れることが多いです。返り値の型なしのクロージャは依存関係解決の対象外となるため、この記法は「単純にその型のインスタンスが欲しい」場合に有用です。
static(string $classname, array $arguments = []): Closure
yield
の static 版です。それ以外は全く同じです。
つまり、下記の hoge1 と hoge2 は同義となります。
<?php return [ 'hoge_arg1' => 1, 'hoge_arg2' => 2, 'hoge1' => static fn($c): Hoge => new Hoge($c['hoge_arg1'], $c['hoge_arg2']), 'hoge2' => $this->static(Hoge::class), ];
parent(callable $callback): Closure
直近の親の値を受け取って値を変換するクロージャを返します。 親の設定を活かしつつ、軽微な変更を施したいときに使用します。
# parent.php <?php return [ 'array' => ['a', 'b'], 'object' => new Something(), ]; # child.php <?php return [ 'array' => $this->parent(fn($parent) => array_merge($parent, ['c'])), 'object' => $this->parent(fn($parent) => $parent->setSomething()), ];
上記で array は ['a', 'b', 'c']
になります。
object は親の new Something()
インスタンスの setSomething が呼ばれています。
callable(callable $entry): Closure
与えられた callable をクロージャにするクロージャを返します。 仕様上、クロージャを値として設定するためには「クロージャを返すクロージャ」を定義する必要がありますが、その時の糖衣構文です。 つまり、下記の callable1 と callable2 は同義となります。
<?php return [ 'callable1' => static fn(): Closure => fn() => 'something', 'callable2' => $this->callable(fn() => 'something'), ];
自動的に static が付与されます。 これは「クロージャを返すクロージャは毎回生成する必要はないだろう」という前提に基づきます。
array(array $array): Closure
与えられた配列をそのまま返すクロージャを返します。 ただし、配列内のクロージャは実行時に解決されます。
配列をマージではなく完全に上書きしたいときの糖衣構文です。 つまり、下記の array1 と array2 は同義となります。
<?php return [ 'array1' => fn(): array => ['php', 'js'], 'array2' => $this->array(['php', 'js']), ];
パッと見はほぼ同じですが、yield/static と同様、型宣言を忘れることが多いのと、配列をマージしてしまうと都合が悪い時に有用です。
annotate(?string $filename): array
設定されている実際の型を元に phpstorm.meta.php 形式で文字列を吐き出します。
この機能は開発支援機能なので遅延クロージャはすべて解決されます。本運用時に呼ぶことは想定されていません。
$filename を与えるとそのファイルに $container['hoge']
や $container->get('hoge')
でコード補完が効くようになりかつ型を活かすことができるような map 配列が書き出されます。
返り値として名前の型配列を返します。
typehint(?string $filename): array
設定されている実際の型のプロパティを持ったクラス定義を吐き出します。
この機能は開発支援機能なので遅延クロージャはすべて解決されます。本運用時に呼ぶことは想定されていません。
$filename を与えるとそのファイルに $container->hoge
でコード補完が効くようになりかつ型を活かすことができるようなクラス定義が書き出されます。
返り値として名前の型配列を返します。
dump(string $id = ''): string
設定されている実際の型を元に指定 id をダンプします。
この機能は開発支援機能なので遅延クロージャはすべて解決されます。本運用時に呼ぶことは想定されていません。 オブジェクトの一意性やちょっとした値の確認に使います。
Q&A
- Q.「なんで設定ファイルベース?」
- A. 設定ファイルに記述することはコンテナにも記述しがちであり、分ける意義を見いだせなかったためです
- Q.「セッターインジェクションやアノテーションは?」
- A. 単純にセッターインジェクションが嫌いです。あれは DI に巻き込むべきではないただのメソッドコールです
- A. アノテーションは前時代的であり依存が大量に増えるので、やるとしたらアトリビュートでの対応になります
- Q.「メソッド名でキーワード縛りでもしてるの?」
- A. 一番最初に
include
とextends
を実装したら不思議とそうなってしまいました
- A. 一番最初に
- Q.「なんで非 static で factory 動作?」
- A. 値 or クロージャに終止したかったからです。 static キーワードはただの流用です
- Q.「なんでカステラ?」
Lisence
MIT
Release
バージョニングは Romantic Versioning に従います。
2.0.1
- [refactor] SplObjectStorage を WeakMap に変更
- [merge] 1.0.8
2.0.0
- [change] php>=8.0
- 非互換はないが管理上の都合でバージョンアップ
1.0.8
- [feature] 定数定義のサポート
1.0.7
- [feature] mount メソッドに user 引数を追加
1.0.6
- [feature] 指定ディレクトリを一括で読み込む mount メソッドを追加
- [feature] 親の値を改変できる parent メソッドを追加
- [feature] 環境変数を返す env メソッドを追加
1.0.5
- [fixbug] IDE によっては ArrayShape のキーをクォートしないと notice が出ることがある不具合を修正
- [fixbug] typehint クラスにコンストラクタがなく notice が出ていた不具合を修正
1.0.4
- [tests] lazy アクセスの導入で yield の fn が要らなくなっているはずなのでテストケースを追加
- [refactor] eval を廃止してメタデータとして持たせるようにする
- [feature] マジックアクセスとそのタイプヒント出力機能
- [fixbug] クラス名が完全修飾になっていない不具合を修正
1.0.3
- [feature] 親の値を伏せる unset を実装
1.0.2
- [feature] include のコンテキストで直参照すると遅延評価される機能
- [feature] debugInfo を実装
1.0.1
- [feature] include のコンテキストで直参照するとクロージャとして扱われる機能
- [fixbug] preg_replace でメタ文字が吹き飛んでいた不具合を修正
1.0.0
- publish